2012.4.27 J2第10節 湘南ベルマーレー水戸ホーリーホック 感想

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シーズン前から戦術的に興味深く思っていた湘南との一戦。3−6−1のフォーメーションですが、両WBが非常にワイドかつ前の方に張る事が多いため、3−4−3と表す方もいるようです。選手の共通理解と運動量でもって、両フォーメーションの良いところを表現できている、素晴らしいチームだと思います。実際、8勝1分けの単独1位。こういうチームに不利なこの時期の連戦と夏場を無事乗り切れば、まず6位以内は固いでしょう。

水戸としては、どのように湘南の厳しい前線からのチェックをかいくぐってポゼッション状態をキープするか。あまりロングカウンターを使わない水戸だけに、その点を上手く遂行できるか。相手のプレスをかいくぐってキープできれば、相手最終ラインの後ろの広いスペースを、島田、小澤と言ったスピードのあるプレイヤーが突く事ができる分、相手も苦しくさせる事ができるかなと思ってました。

試合は序盤から動き、水戸が前述したようなプレーで相手プレスをかいくぐり、シュートを何本か放ちました。初先発、高卒ルーキー鈴木雄斗のターンからの突破で、ゴール前でのセットプレー等もありました。前半5分には、波状攻撃をしかけ、市川大祐のややライナー性のクロスを、エリア外から走り込んできたフランクが強烈なヘッドで先制。一連のプレーは、非常にクオリティの高いパスと動きの連続で、市川のクロスもかなり精度が高いもので、うーん、とうなってしまうような質の高いゴールでした。

先制後は、前線でキープするのかはたくのか、水戸のちょっとしたずれを何度か突かれて、湘南にカットされるシーンが何度かあり、ポゼッションが出来なくなりました。また、湘南がブロックの間にどんどん侵入してきて、精度の高いパスと動きで、ゴール前まで何度もボールをはこばれました。そして、前半38分には、左サイド輪湖が抜かれて、ニアにグラウンダーのクロスを、馬場の豪快なシュートで同点に。その中で感心したのは、失点はあったけど、水戸のブロックが揺らがずに機能し続けていたこと。また、尾本の、ジョン・テリーのように体を張った勇気のある守備と、尾本、塩谷の戦術面で質の高いロングフィードでした。押し込まれていても、ポゼッションと最後方からのロングフィード、キーパー本間を使うプレーと、選択肢が豊富かつ質が落ちないため、ハイプレスに対応できたのではないでしょうか。

前半は、お互いに技術面、戦術面の両面で持ち味を発揮しあうという、J2ではあまり見ない非常に質の高いゲームで、誰が見ていても面白い内容だったと思います。後半の試合展開を個人的に予想したんですが、お互い走るサッカーなので体力が落ちてくる中で、ある程度中盤を省略したりかいくぐる機会が増えるので、打ち合いになるのかな、と予想しました。

しかし、後半になってもお互いスタイルをぶらさずにきっちりと中盤からゲームを作ってきたし、運動量も思ったほどには落ちなかったように見えました。さすがに最終盤は気力の戦いになりましたが、最後まで集中を切らさず戦術を高いレベルで実現した両チームは素晴らしかったし、それ故に好ゲームになりました。

決勝点は後半42分、中央でフランクがキープして左サイドでプルアウェイの動きでDFの視覚外から侵入できた島田が、メッシのようなチップシュートで決めたもの。まさにお手本のようなプルアウェイの動きで、最後の最後に相手3バックの弱いところをストレートに突く事ができた少ないチャンスを物にしました。

今回、首位チーム相手という事でモチベーションが高かった部分もあると思いますが、どんな相手に対してもこのくらいのサッカーが出来れば、昇格争いは十分可能だと思います。攻撃に関して言えば、ここ2試合ほど、中央からの崩しが高いレベルで出来ているので、得点につながっていると思います。これを継続していって欲しいです。